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樋口廣太郎のプロフィール

【樋口廣太郎、ひぐち・ひろたろう】アサヒビール社長。アサヒスーパードライなどのヒット商品を生み出しアサヒビールの発展に貢献した人物。東京大学卒業後、住友銀行入行。56歳で副頭取まで上り詰める。その後、経営危機に陥っていたアサヒビール社長に就任。製造後半年以上経ったビールをすべて回収廃棄する損切り経営や、新商品開発などを行いアサヒビールを復活させた人物。会社を大きくするより、良い会社を目指すグッドカンパニー思想が多くの経営者に影響を与えた。

管理職十訓

  1. 組織を活性化しようと思ったら、その職場で困っていることを一つずつつぶしていけばよい。人間は本来努力して浮かび上がろうとしているのだから、頭の上でつかえているものを取り除いてやれば自ずと浮上するものだ。
  2. 職位とは、仕事のための呼称であり、役割分担を明確にするためにあるものだと考えれば、管理職とは、何かがキチンと出てくる。
  3. 先例がない、だからやるのが管理職ではないか。
  4. 部下の管理は易しい。むしろ上級者を管理することに意を用いるべきである。
  5. リーダーシップとは、部下を管理することではない。発想を豊かに持ち、部下の能力を存分に描き出すことである。
  6. YESは部下だけで返事をしてもよいが、NOの返事を顧客に出すときは、上司として知っていなければならない。
  7. 人間を個人として認めれば、若い社員が喜んで働ける環境が自らできてくる。
  8. 若い人は、我々自身の鏡であり、若い人がもし動かないならば、それは我々が悪いからだと思わなければければならない。
  9. 若い人の話を聞くには、喜んで批判を受ける雅量が必要である。
  10. 結局職場とは、人間としての切磋琢磨の場であり、錬成のための道場である。

仕事十訓

  1. 基本に忠実であれ。基本とは、困難に直面したとき、志を高く持ち初心を貫くこと、常に他人に対する思いやりの心を忘れないこと。
  2. 口先や頭の中で商売をするな。心で商売をせよ。
  3. 生きた金を使え。死に金を使うな。
  4. 約束は守れ。守れないことは約束するな。
  5. できることと、できないことをはっきりさせ、YES、NOを明確にせよ。
  6. 期限のつかない仕事は「仕事」ではない。
  7. 他人の悪口は言うな。他人の悪口が始まったら耳休みせよ。
  8. 毎日の仕事をこなしていくとき、いま何をすることが一番大事かということを常に考えよ。
  9. 最後までやりぬけるか否かは、最後の一歩をどう克服するかにかかっている。それは集中力をどれだけ発揮できるかによって決まる。
  10. 二人で同じ仕事をするな。お互いに相手がやってくれると思うから「抜け」ができる。一人であれば緊張感が高まり、集中力が生まれてよい仕事ができる。

会社にとって本当に良い情報とは何かということなんですが、私の経験では課長よりも次長、次長よりも部長、部長よりも取締役、そして常務、専務とだんだん良い情報が多くなるんです。自分の立場あるいは会社にとって良い情報が多い。しかし、それだけでは何にもならないと私は思うのです。良い情報はありがたく頂戴するけれども、悪い情報にこそ経営の資源です。ここに宝があると思うからなのです。

私は大きな会社になろうとは言ってきませんでした。いい商品を作り、社会の人々に好意をもって迎えられる会社、ビッグ・カンパニーではなくグッド・カンパニーを目指そう、そしてそれをアサヒビールの夢にしようとしたのです。人が美しいもの、いいものに対するあこがれを持つように、企業も夢を持ち続けていきたい。夢のない企業はだめだと思いますから。

いい数字はありがたく聞くけど、それは要するにそれだけのことです。異常値をどう発見するか、異常値がどうやって吸い上がってくるかということが一つのポイントになるのです。企業は常に健康でなければなりません。健康診断が必要です。それを診断するには、バッド・インフォメーション(自社にとって悪い情報)を途中で消音することなく集音する装置を持っていなければいけない。

私が就任した当時のアサヒビールは「夕日ビール」とまで酷評されるありさまで、シェアもかつては36%強あったものが、「ナイアガラの滝のように」9.6%まで落ちていました。私が来る前の15年間、赤字になってはいなかったのですが、この間ずっと資産の売り食いで何とか食いつないでいたんですが、その額は毎年30から40億円にもなっていました。

私が社長に就任した当時は、ギョッとするような報告もいろいろありました。当時はお客様に自信を持って売れる商品がなく、その悪循環から販売店では在庫がたまって仕方がなかった。だから「お宅のビールは古すぎる」とよく怒られたものです。でもその声に謙虚に耳を傾け、正直に対応することが大切なのです。

なぜ、アサヒビールがまずかったかというと、ズバリ古かったからです。アサヒビールは売れないものだから、ついつい長く置かれて古くなってしまう。おいしく飲んでいただけるのはせいぜい製造後三カ月までのものです。ビールは日光に当たるところに半日おいたら、たちまち飲めなくなってしまいます。お客さんたちは古いビールを飲んでマズイと言う。これじゃますます売れなくなる。完全な悪循環だったわけです。だから、三カ月以上たっている古いビールを全部回収することにしたんです。

「樋口さんがアサヒビールを立ち直らせたポイントは何ですか?」とよく聞かれます。でも秘密などないのです。ただ私は、アサヒビールをせめて世間並みの会社、世間で存在価値を認められるような会社にしたいと願っていただけでした。世間から、「あの会社はいい商品もできない、活気もない、活力もない」といわれたから勢いが落ちてきたわけですから、それを世間並みに持っていけばいいということだったのです。

私はビール業界素人だから人に聞くのが一番だということで、厚かましくもまずライバル会社のキリンビールの小西秀次会長や山本英世社長のところに行って、「ビールには何が一番大事なんですか」と聞いてみました。すると、小西さんは即座に「品質第一」と答えてくださった。そこで、「品質第一の根本は何ですか」と聞いてみたら、「それは原材料に金を惜しまないこと」とおっしゃる。そして今度は、サッポロビールにも出かけてみた。

社長に就任した当初、業績的には最悪の時でしたが、ところが社内を見まわしてみると、驚いたことに、社員たちはとにかく猛烈に明るかった。これは大きな発見でした。それは結局、前社長の村井さんが社内ムードを変える準備を全部しておられたんですね。村井さんも苦心されてマツダの再建を成し遂げた後、昭和57年からアサヒビールの社長をされていました。

早く対応する、礼儀正しい、謙虚であるということは、一般の社会通念や金融機関などにおいては美徳とされるわけですが、メーカーの場合は、肝心の商品の品質、評判が良くないと、みんな逆にとられるのです。つまり、ビールメーカーにとって大事なのは一にも二にも商品の質であり、それが原点でもあるのです。簡単に言えば「うまい」と言って飲んでいただけるビールでなければならないということなんです。

スーパードライが市場に出た時、業界の間では「あのつくり方は昔から理論的にはわかっていた」という声も聞かれました。しかし実際にやらなければ何の意味も持たない。スーパードライはまさしくコロンブスの卵だったわけです。前例がないから「やらない」のか、前例がないから「やる」のかここで大きな差が出たわけです。

私の持論の一つに「メーカー大根役者論」というのがあります。メーカーというのは役者でなくてはならない、役者でも、二枚目でわがままが通るような役者ではなく、大根役者でなくてはならない、というわけです。監督はお客様です。演出は流通のみなさん、小売店さんです。こういう味、こういう商品があればいいということを言ってもらい、いただいた役柄を忠実にやるのがメーカーです。そういう感覚でお客様の求めておられるものを敏感にキャッチし、それを演じる、こういった姿勢にならなければいけないということです。

私は住友銀行の専務から副頭取の時代に国際部門を担当していたのですが、この損切、つまり捨てることの大事さというのはそのときに覚えたんです。住友の国際部門の業績が都銀の中でもダントツになったことがあるんですが、それは住友が事業部制になっていて、ディーリングで思い切った損切ができたからなんです。損を切ってしまうと、深手を負わなくてすみ、相場を冷静な目で見ることができるようになる。

わが社は人の真似だけは会社がつぶれてもやらない。逆に人が真似をするようないいものを作ろうということを、社是としてやってきました。そして、その新しいものを生み出す力は、いつの世も若者なのです。私は新製品とか新企画は若い力でなければならないと思っています。新しいものに対して挑戦していく、これが若者の特権だと思うのです。

プロダクトアウトからマーケットインへ。そういった考えを現実のものにしていくためには、常にお客様の声に耳をそばだて、それを謙虚に聞き入れるという企業風土が必要になるでしょう。それにはまず、社員のみんなが礼儀正しく、常に低い姿勢を保つ必要があると私は考えています。そこで私は社員のみんなに、日々の仕事の中で「私も含めて皆さんが礼儀正しい社員になろう。そして常にお客様の声を聴かせていただいて、それを商品づくりに生かしていこう」と訴え続けてきました。

私は銀行時代から専門バカにならないようにと、いろいろな分野の本を読むようにしています。軽いものから、堅いものまで、手当たり次第に読み、それもダラダラ読むのではなく、よほどの長編でもない限り、日に一冊完読。これくらい読まなきゃ頭が錆びちゃうと思いまして。

人事というものは10年単位で見るべきだと思っています。この人は仕事のできる人だ、社にとって大事な人だというのは、10年というスタンスで見ていると自然にわかるものなのです。

いまの世の中ではクオリティが問われています。クオリティとは何か。企業でいうと、いい製品を作ることであり、他にないようなサービスをしていくことであり、そう難しく考えることではありません。従来は規模が大きい、収益が大きいということで企業を評価しましたが、そうではなく、いいものをつくれる、いいサービスを提供できる会社が評価される時代になってきました。

自分のことは自分で守れ。組織は個人のことを細かく考えることの大切さがわかっていながら、実際にはかなり難しいということです。組織は組織として自律的に生きていく力を持っています。放っておいても組織そのものを守り、大きくしていく力を持っているのです。だから、組織の中で個人が生きていくためには、自分で自分を守るしかない。けっして他人が助けてくれるわけではない。むしろ、他人に助けを求めることは甘えであるといえるわけです。社員は命や魂まで会社と契約しているわけではないのだから、命とか魂は個人の責任において守るという覚悟が必要です。

先に作ったからと言って二番手三番手に負けたら、それはうちのビールの味が悪いのだからしょうがないじゃないか。そんなものにぐじぐじ言っていてはだめだ。一番手に作ったものがうまいと思ってんだから、これは売れるはずだから信念を持て。【覚書|スーパードライ開発後、他社がこぞって同じような商品を発売した。そんな中で社員に対しての激励の言葉】

蒸気機関車のようにトップが引っ張るのはもう無理ではないでしょうか。みんなに気持ち良く楽しく仕事をしてもらうためには、引っ張るのは良くないということです。ひところの企業の経営は、社長が引っ張らなければならない、あるいはトップのマネジメントが必要という過酷な時代でした。これからの経営は全車両、つまりあらゆるセクション、あらゆる部、あらゆる工場、あらゆる配送センターなどに、発言権のある徹底的な権限を与え、それぞれがその地域、環境に応じて最善と思われるものをやるようでなければ成り立たないと思います。

世間では経営者が夢を語ってぶち上げ、社員たちがそれに沿おうと汲々としている。という例が少なくないようですが、私は逆だと思うんです。社員たちの夢を実現させるために働くのが経営トップだと考えています。

最初はずいぶん惨めな思いをしましたね。現在ではどこのお店でもアサヒビールを置いていただけていますが、そのころは首都圏でアサヒビールを扱っていただける小売店さんは二軒に一軒しかなかったんです。私はジャンパーをはおって、小売店回りをしたんですが「アサヒの樋口ですが」といっても、一介の営業マンのように扱われました。そんなことはありましたが、とてもエキサイティングなことが多かったし、実にビール業界は面白いところだと思いました。義理人情があって、毎日が感激感動で本当に楽しかった。

立派な会社というのは限りないものです。青空みたいなもので、どこまで行ってもまだまだいい会社はあるのです。見習うべきものはいくらでも出てくる。世の中広いから井の中の蛙になってしまってはいけません。そして夢も同じように果てしない。だから感謝すれども満足してはいけません。

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