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小宮一慶のプロフィール

【小宮一慶、こみや・かずよし】東京銀行(現:東京三菱UFJ銀行)の外国為替・債券ディーラーを経て同社のM&A部門で活躍。退社後複数の企業で外部取締役を歴任。経営コンサルタント会社を運営。金融・会計分野に強く「1秒で財務諸表を読む方法」「お金を知る技術 殖やす技術」「戦略経営のための管理会計入門」などの著書を持つ。明治大学会計大学院で特任教授。個人の資産運用から企業会計まで幅広い分野の専門家。

初心者の方はいきなり大きな投資をしないでください。まず投資というものに慣れてから、投資額を大きくしていくことです。なにごとも最初から上手くいきません。世の中にはビギナーズラックというものもありますが、決して長続きするものではありません。投資の腕を上げるには順序が必要です。

インサイダー取引にはくれぐれも注意が必要です。自社でなくても、取引先企業などの何らかの情報を得られる上場企業の株式を売買する場合も要注意です。その場合、公開情報以外の情報を手に入れて売買していたら儲からなくともアウトだからです。取引先の誰かから、それとなく言われた情報で売買しても法令違反となる可能性があります。捕まったら一生が台無しです。株式を売買するなら、直接取引きのない株を対象にしてください。

ある程度のキャッシュフロー(現金収入)を定期的に得る目的の投資もあります。配当利回りの良い株式や、投資信託、REIT(不動産投信)を買う。あるいは、賃料が入ってくる個別不動産を所有するといった場合です。

「金利」というのはお金についている値段です。値段ですから、物と同じで需要と供給の関係が当てはまります。お金を借りたい人が多ければ資金が足りなくなるので金利は上がり、逆にお金を貸したい人が借りたい人より多ければ資金余剰となり金利は下がります。

投資信託などでプロのファンドマネージャーがTOPIXにさえ勝てないのも、長期投資ができないことで説明がつきます。サラリーマンであるファンドマネージャーは、長くて一年、通常は四半期や半月ごとの実績が評価されボーナスが決まります。成績しだいでは職を失うこともありますから、どうしても短期で値動きの激しい銘柄を狙いがちになり、それで負けてしまうのです。

私たちのファンドの投資方針は4人のパートナーが事業内容を十分にわかったものに投資すること以外に、過半数の株式を持ち経営権を取得する、1・2年のような短期ではなく、5年程度は株式を保有して経営に関与する。敵対的買収は一切しない。ことを前提にしています。

儲かりそうだからという理由で中身の良くわからない会社に投資するのは、大けがのもとです。私がパートナーとして参加している投資ファンドでも、財務内容はもちろんですが4人のパートナー全員が良く中身がわかっている会社にしか投資しません。たとえ儲かりそうでも、理解できない会社はパスです。

個別銘柄に投資するのは「当たるも八卦」的なところがあり、自宅購入費や子供の学費など失ってはいけない「守るお金」を投資するのに適しているとはいえません。ただし、良い株に当たった場合には、投資したお金をそれこそ何倍、何十倍と増やすことができるのが株式投資の魅力です。ただ、プロでも予想をはずすことが多く、インデックス全体の値動きにすら勝てない場合も少なくないことは認識しておく必要があります。

私は東京銀行時代に為替のディーリングを経験しましたが、短期売買はよっぽど運の良い人でない限り儲け続けることができないどころか、トータルで勝つことも難しいというのが実感です。株式でも外為為替でも短期投資は、ある意味バクチだからです。

一般のビジネスマンの方は、相場にあまりのめりこまないようにしてください。相場は麻薬みたいもので、のめりこみすぎると破滅してしまうことにもなりかねません。くれぐれも気をつけてください。そのためにも長期投資が前提です。

資産運用の上でダウンサイドリスクも考えておかなければなりません。ダウンサイドリスクとは失敗したときにこうむる最大限の損失のことです。私は銃数社の会社の非常勤役員をしております。投資案件などでダウンサイドリスクがその企業にとって大きすぎる場合には、成功確率が90%程度だと考えられても反対します。なぜなら、会社をつぶしてしまう恐れがあるからです。

資産運用の三つの大原則

  1. 自分の年齢や収入を考えて、将来リカバリーできる可能性があるくらいの期間が残されていれば、当市に少々のリスクが許容できる。
  2. 5年などといった期間が残されていない。または将来確実に必要なお金は確実な運用をする。
  3. 期間が短くても余ったお金は自分の受け入れられる許容範囲に応じてリスクをとる。

絶対にやってはいけないことは、証券会社や銀行の店頭に行って「何を買えばよいですか?」というような投資信託の相談をすることです。厳しい販売ノルマがあり、強烈なプレッシャーがかかっている彼らに相談してしまったら、「食いもの」にされるだけです。手数料の高い投信を薦められるに決まっています。

信託報酬についてたった1%などとは思わないでください。その1%が差し引かれなければそれは運用益を生み、しかも複利で違ってくるからです。たとえば100万円投資をした場合、10年で15万円近い運用益の差が出てきます。

投資信託はあくまでも「自分では買えない、買いにくい金融商品を使っての運用代行」と考えるべきものです。良い投信と悪い投信の見分け方は、あくまでも運用実績で判断すべきです。ポートフォリオを作るうえで組み込む必要のある種類の投信を選んで、それらの運用実績を調べます。過去三年間くらいを見ればいいでしょう。

投資信託はうまく使わないと、投資信託運用会社、そしてそれを販売している証券会社や銀行が設けるためだけの商品になってしまいます。彼らは損をしません。投資家が得をしても損をしても、とにかく販売すればするほど手数料が入るからです。下手に乗ってしまうと、手数料を取られて泣きを見るだけということになりかねません。

信託報酬の率に注意が必要です。信託報酬は、投資信託を保有している間は必ず差し引かれるからです。仮に年率5%で運用できたとしても信託報酬として2%差し引かれると、ネット(正味)で3%の利回りにしかなりません。

投資信託は基準価格(時価)は「いくらか」「どれくらい上昇したか」あるいは「下落したか」を見て、過去からの運用利回りを計算します。分配型なら分配をしなかった前提での基準価格や利回りが公表されていますから、それを参考にします。過去からの運用実績が良いものが、選ぶべき良い投資信託です。他よりパフォーマンスが良いものです。運用期間が短いものは、数年間待って実績がハッキリするまでは買わないようにしましょう。

リバランス(ポートフォリオの資産分配見直し)を頻繁に行っていると、運用成績が格段に悪くなります。この低金利のときに毎年1%以上の販売手数料を取られるとしたらどうでしょう?皆さんの運用成績に大きく影響することは、一目瞭然ですよね。

こんなデータもあります。通常、比較的高い手数料を取る積極運用のアクティブ型の投資信託がどのくらいの利回りを出しているのかを調べたものです。ここ8年ほどの実績を比較してみると、TOPIXにも勝てないものの方が多いのです。さらに株価上昇期と下降期に分けてみると、上昇期にはTOPIXよりも運用成績の良い投信がほとんどですが、下降期になるととたんにTOPIXに勝てなくなってしまいます。

リバランスは景気の変わり目に行うのが正解です。「デフレ←→インフレ」「景気拡大←→景気後退」などの兆候が現れたときに、金融商品のバランスを変えるのです。景気やインフレの動向によって適切な金融商品が違うからです。

預けられている純資産総額が増加しているかどうかも大切です。人気のある投資信託は純資産総額が増えているはずです。一方、パフォーマンスが悪く、損失が出ているような投資信託では、投資家がどんどん抜けて信託財産が減少しているでしょう。運用会社の純資産総額が減少している場合は要注意です。

一般的に金融機関に資産運用を相談すると、リバランス(ポートフォリオの資産分配見直し)を定期的に行うように薦められることが多いのですが、この「定期的に」が曲者です。とくに投資信託を買っていて、年に一度リバランスなどしようものなら、販売手数料を毎年取られていつまでたっても元本が増えない。などということになりかねません。

どうか皆さんも経済・金融の動きに対して自分なりの仮説を持ち、そこから現実の経済や金融の動きを見つめてください。そうすることで、世の中の動きや自分の金融資産などに対する見え方が違ってくるはずです。世界一の投資家ウォーレン・バフェットがこう言っています。「天と同じく市場は自ら助くるものを助く。しかし、市場は天と違い、右も左もわからぬ者を許さない」

年齢が若く、元本を殖やすことが目的で投資信託を買うなら、分配金はなくても運用益を再投資するタイプの投資信託を選ぶべきでしょう。再投資されて元金に組み込まれた部分が複利で増えていくので、結果的に運用利回りが高まる可能性があります。

定期的なキャッシュフローを目的とした投資信託なら「グロソブ」のような定期的に分配金を出す投信での運用が有効です。リタイアなさった方などで、年金の支払いが3ヶ月ごとなのでその間の年金支払いがない月のキャッシュフローを得る目的で毎月分配型の投信を買われている方も多いようです。

リスクとリターンの関係ではシャープレシオという指標もあります。

シャープレシオ=(投資信託のリターン-無リスク資産国債金利)÷リスク(標準偏差)

これは実質的なリターンがリスクの何倍あるかを表した指標です。数字が大きいほど、リスクに比してリターンが大きい、すなわちよい金融商品ということになります。

ウォーレン・バフェットやさわかみ投信のような長期投資を前提としている投資家は、短期投資家の動きに一喜一憂しません。むしろ短期投資家が買いすぎるときには買わず、売りすぎるときは好機ととらえて投資し、長期保有します。バフェットは短期投資をしてくれる「プロ」のファンドマネジャーがいるおかげで自分たちは儲かるとハッキリ言い切っています。

手数料でまずもって注意しなければならないのが、国内債券中心に運用している投資信託です。国内債権に投資しても、最近では1%代後半で運用できれば上出来です。そのくらいの利回りしか得られないのに信託報酬を年率1%程度も取られるなら、自分で個人国債を買って運用した方がずっとましでしょう。

私は証券会社の人のコメントは適当にしか聞いていません。所詮、株を買わせるための話ですから。

投資信託の運用会社や販売会社は手数料で儲けているのです。売買手数料が必要な株式も同じです。手数料が欲しいからこそ、証券会社を筆頭に、出来るだけ取引をさせようとするのです。ですからそんな甘い言葉に騙されてはいけません。

大切なことは『人によって最適なポートフォリオは違う』ということ。Aさんに正しい金融商品も、Bさんには正しくない場合があるのです。同じ100万円でもAさんは銀行に預金すべきだが、Bさんは株式や投資信託を買った方が良い場合があります。年齢や家族構成、ライフステージ、時々の収入や必要資金が人によって違うからです。

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